ドローン測量について

 
ドローン測量は土木建設分野における新規の測量法であり、BIMを土木建設分野に適用したCIMやi-Constructionの測量の要として使用が推奨されています。

ドローン測量は、既存の航空レーザー測量や航空写真測量に取って変わる、土木建設分野における新しい測量方法です。

セスナ等の航空機や小型ヘリ、人工衛星などを用いずに手軽に測量を行うことが出来るため、国土交通省が推進する土木建設分野の新しいモデルである「i-Construction」でも使用が推奨されています。

また、ドローンで撮影した連続写真をもとに画像解析を行い、三次元モデルを作成出来る点も特徴です。定められた着陸場以外では高度150メートル以下に降下できない航空機と比べ、無人航空機とも呼ばれるドローンは高度150メートルまでを行き来可能であり、低空で撮影した高解像度画像を用いることで、詳細な地形図を得ることが出来ます。

しかし、ドローン測量は新規の測量方法となり、法律などの整備が進んでおらず、土木建設分野での使用を主として想定され、精度保証もされていないのが現状です。

そうした中、弊社はドローン測量の分野で世界初の国際規格ISO/IEC17025:2005の認定を受け、2センチの精度誤差で測量を実施することが可能です。また、この精度誤差は2018年に稼働予定の順天頂衛星システムである「みちびき」により、ミリ単位まで縮小されることが見込まれています。

ドローン測量の具体的な手順

 

ドローン測量の具体的な流れは、以下の通りです。

①計画の策定
航空法や航空局の標準マニュアルを巡視し、飛行ルートを策定します。ドローンの機種に応じた専用のソフト用いて、撮影高度、写真撮影間隔、写真ラップ率等を考慮し自動飛行ルートを設定します。

②現場にGCP(地上標準点)を設置
連続写真を用いて作成される三次元モデルに位置情報を付加するため、現地にGCP(Ground Control Point:地上標準点)を設置します。GCPはトータルステーションやGNSS測量器を使用し、基準点測量により座標を観測します。GCPでの観測後は、写真から各地上標準点を視認できるよう、専用の治具を用いた標準灯に付け替えます。

③飛行・撮影
策定した飛行ルートに従い、自動飛行を行い撮影を実施します。この際には、必要に応じてフォーカス設定を手動で行うことも可能です。

④モデリング
専用の画像解析ソフトで解析を行い、オルソ画像の作成を行います。写し込んだ標準灯と基準点座標値の対応付けなどを実施し、測量の準備を整えます。

⑤出力・測量
オルソ画像、点群データ、三次元モデル等を出力データとして得た後、画像解析測量を実施します。尚、これらの三次元位置情報を持ったデータは、精度誤差が少ない場合、BIMなどの建物の外面にも活用できます。

i-Construcitonにおける活用

 
ドローン測量は、国土交通省が推奨するi-Construcitonの測量において使用が推奨されている新しい測量法となります。

国土交通省は2016年3月に、ドローンやICT建機などの新技術であるICTの全面的な活用に向け、三次元データに関する「15の新基準」を公表しました。

新基準の内容は以下の通りとなっています。

【調査・測量、設計】
①UAVを用いた公共測量マニュアル(案)
②電子納品要領(工事及び設計)
③3次元設計データ交換標準

【施工】
④ICTの全面的な活用(ICT土工)の推進に関する実施方針
⑤土木工事施工管理基準(案)
⑥土木工事数量算出要領(案)
⑦土木工事共通仕様書 施工管理関係書類
⑧空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案)
⑨レーザースキャナーを用いた出来形管理要領(土工編)(案)

【検査】
⑩地方整備局土木工事検査技術基準(案)
⑪既済部分検査技術基準(案)及び同解説
⑫部分払における出来高取扱方法(案)
⑬空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理の監督・検査要領(土工編)(案)
⑭レーザースキャナーを用いた出来形管理の監督・検査要領(土工編)(案)
⑮工事成績評定要領の運用について

新設されたもの、改定されたものを合わせた15の基準が「i-Construciton」におけるICTの基本軸となります。弊社はISO:IEC17025:2005の認定に際し「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」を基本マニュアルとして使用し、認定を受けました。

15の新基準の中で、ドローンと関連する「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」について、続いて紹介いたします。

「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」

 

ドローンは「無人航空機(Unmanned Aerial vehicle)」とも呼ばれ、略称として行政ではUAVと呼ばれています。

「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」は、「i-Construciton」で適用することを前提に作成され、ドローン測量における精度確保のための基準(案)や作業手順等を定めています。

そして、「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」では二つの測量手法が対象となっています。

①UAVによる空中写真を用いた数値地形図作成
②UAVを用いた空中写真による三次元点群測量

①の「UAVによる空中写真を用いた数値地形図作成」に関しては、航空機を用いた航空写真測量とほぼ同一の内容です。これは広域ではなく、狭い範囲における数値地形図の整備や更新(道路台帳など)に活用されます。

②の「UAVを用いた空中写真による三次元点群測量」が、新規に定められた、i-Constructionにおける土木建設分野の土量管理等を想定した作業マニュアルとなっています。

具体的な内容は以下の通りです。


――第3編 UAVによる空中写真を用いた三次元点群作成――

第1章 概説

(要旨)
第47条 本編はUAVによる空中写真を用いて三次元点群を作成する測量作業の方法等を定 める。

2「三次元点群」とは、地形に係わる情報の水平位置、標高に加え、空中写真の色情報を属 性として、計算処理が可能な状態として表現したものをいう。

(工程別作業区分及び順序)
第48条 UAVによる空中写真を用いた三次元点群作成における工程別作業区分及び順序は、次の各号を標準とする。

一 作業計画
二 標定点及び検証点の設置
三 撮影
四 三次元形状復元計算
五 点群編集
六 三次元点群データファイルの作成
七 品質評価
八 成果等の整理

(三次元点群の精度)
第49条 作成する三次元点群の位置精度は、0.05m 以内、0.10m 以内又は 0.20m 以内のいずれかを標準とする。なおここでいう位置精度とは、作業範囲において観測した検証点の位置座標と、この地点に相当する三次元点群が示す位置座標の X、Y、Z それぞれの成分の較差の許容範囲をいう。

第2章 作業計画

(要旨)
第50条 作業計画は、第14条の規定を準用する。

第3章 評定点及び検証点の設置

(要旨)
第51条 標定点及び検証点の設置とは、三次元形状復元計算に必要となる水平位置及び標高の基準となる点(以下第3編において「標定点」という。)及び三次元点群の検証を行う点(以下「検証点」という。)を設置する作業をいう。

2 標定点及び検証点には対空標識を設置する。

(対空標識の規格及び設置等)
第52条 対空標識は、第16条の規定を準用する

<第52条 運用基準>
1 第16条運用基準を準用する。

(標定点及び検証点の配置)
第53条 標定点は、計測対象範囲の形状、比高が大きく変化するような箇所、撮影コースの設定、地表面の状態等を考慮しつつ、次の各号のとおり配置するものとする。

一 標定点は、計測対象範囲を囲むように配置する点(以下「外側標定点」という。)及び計測対象範囲内に配置する点(以下「内側標定点」という。)で構成する。

二 外側標定点は、計測対象範囲の外側に配置することを標準とする。

三 内側標定点は、計測対象範囲内に均等に配置することを標準とする。

四 標定点の配置間隔は、作成する三次元点群の位置精度に応じて、以下の表を標準とする。なお、外側標定点は3点以上、内側標定点は1点以上設置するものとする。

五 計測対象範囲内の最も標高の高い地点及び最も標高の低い地点には、標定点を設置することを標準とする。なお、これらの標定点は、外側標定点又は内側標定点の一部とすることができる。

2 検証点は、標定点とは別に、次の各号のとおり配置するものとする。

一 検証点は、標定点からできるだけ離れた場所に、計測対象範囲内に均等に配置することを標準とする。
二 設置する検証点の数は、設置する標定点の総数の半数以上(端数は繰り上げ。)を標準とする。
三 検証点は、平坦な場所又は傾斜が一様な場所に配置することを標準とする。

(標定点及び検証点の観測方法)
第54条 標定点及び検証点の位置及び高さは、準則第3編第2章第4節第1款の TS 点の設置に準じた観測により求めるものとする。ただし、作成する三次元点群の位置精度が 0.05m以内の場合には、準則第92条に示す TS 等を用いる TS 点の設置に準じて行うものとする。

(成果等)
第55条 標定点及び検証点の設置の成果等は、次の各号のとおりとする。

一 標定点及び検証点成果表
二 標定点及び検証点配置図
三 標定点及び検証点測量簿及び同明細簿
四 精度管理表
五 その他の資料

第4章 撮影

(要旨)
第56条 撮影とは、UAV を用いて三次元形状復元計算用の空中写真を撮影する作業をいう。

(撮影計画)
第57条 撮影計画は、撮影地域ごとに、作成する三次元点群の位置精度、地上画素寸法、対地高度、使用機器、地形形状、土地被覆、気象条件等を考慮して立案し、撮影計画図としてまとめるものとする。

(使用する UAV の性能等)
第58条 撮影に使用する UAV の性能等は、第23条の規定を準用する。

(使用するデジタルカメラの性能等)
第59条 撮影に使用するデジタルカメラの性能等は、第24条の規定を準用する。

(機器の点検と撮影計画の確認)
第60条 機器の点検と撮影計画の確認は、第26条の規定を準用する。

(撮影飛行)
第61条 UAV による撮影飛行は、第27条の規定を準用する。

(撮影結果の点検)
第62条 撮影の直後に、現地において撮影結果の点検を行うものとする。

2 撮影結果の点検は、次の各号について行い精度管理表にまとめるものとする。

一 撮影範囲
二 空中写真の画質
三 隣接空中写真間の重複度
四 隠蔽部の範囲
五 全ての標定点及び検証点が適切に撮影できているか

(追加撮影)
第63条 撮影結果の点検の結果、次の各号の場合には、それらの箇所を追加撮影するものとする。

一 実体空白部や現地調査で補えない隠蔽部等が存在する場合
二 適切な画質の空中写真が得られない場合
三 適切な重複度の空中写真が得られない場合

(成果等)
第64条 撮影の成果等は、次の各号のとおりとする。

一 撮影計画図
二 撮影した空中写真
三 撮影記録
四 撮影標定図
五 UAV 撮影コース別精度管理表
六 その他の資料

第5章 三次元形状復元計算

(要旨)
第65条 三次元形状復元計算とは、撮影した空中写真及び標定点を用いて、空中写真の外部 標定要素及び空中写真に撮像された地点(以下「特徴点」という。)の位置座標を求め、地形・地物の三次元形状を復元し、オリジナルデータを作成する作業をいう。

2 三次元形状復元計算は、特徴点の抽出、標定点の観測、外部標定要素の算出、三次元点群の生成までの一連の処理を含むものとする。

(三次元形状復元計算結果の点検)
第66条 三次元形状復元計算の結果は、三次元形状復元計算ソフトの機能に応じて点検するものとする。

(標定点の残差及び検証点の較差の点検)
第67条 三次元形状復元計算で得られる標定点の残差が、X、Y、Z いずれの成分も、作成する三次元点群の位置精度以内であることを点検する。

2 あらかじめ求めた検証点の位置座標と、三次元形状復元計算で得られた検証点の位置座標との較差が、X、Y、Z いずれの成分も、作成する三次元点群の位置精度以内であることを点検する。

3 点検のために、必要に応じてオルソ画像を作成することができるものとする。

4 点検の結果、精度を満たさない場合には、不良写真の除去及び特徴点の修正を行った上で、再度三次元形状復元計算を行い、点検を行うものとする。こうした処理を行っても精度を満たさない場合には、追加撮影を行うものとする。

(成果等)
第68条 三次元形状復元計算の成果等は、次の各号のとおりとする。

一 オリジナルデータ
二 三次元形状復元計算ソフトが出力する情報
三 三次元形状復元精度管理表
四 その他の資料

第6章 点群編集

(要旨)
第69条 点群編集とは、オリジナルデータから必要に応じて異常点の除去、あるいは、点群の補間等の編集を行ってグラウンドデータを作成し、所定の構造に構造化する作業をいう。

(点群編集)
第70条 オリジナルデータを複数の方向から表示し、地形以外を示す特徴点や成果に不要となる特徴点等の異常点を取り除くものとする。

2 オリジナルデータが必要な密度を満たさない場合は、必要に応じて TS 等を用いて現地補測を行い、点群を補間する。

3 異常点やオリジナルデータが必要な密度を満たさない場所が広範囲に分布する場合には、空中写真及び三次元形状復元計算結果を見直し、必要に応じて空中写真の追加撮影又は三次元形状復元計算の再計算を行うものとする。

(構造化)
第71条 構造化とは、必要に応じて、グラウンドデータを決められた構造の構造化データに変換する作業をいう。
2 構造化に当たっては、必要に応じてブレークラインを追加できるものとする。

第7章 三次元点群データファイルの作成

(要旨)
第72条 三次元点群データファイルの作成とは、グラウンドデータ又は変換した構造化データから三次元点群データファイルを作成し、電磁的記録媒体に記録する作業をいう。

第8章 品質評価

(品質評価)
第73条 品質評価は、準則第3編第4章第12節の規定を準用する。

第9章 成果等の整理

(メタデータの作成)
第74条 三次元点群データファイルのメタデータの作成は、製品仕様書に従いファイルの管理及び利用において必要となる事項について作成するものとする。

(成果等)
第75条 UAV による空中写真を用いた三次元点群作成における成果等は、前各章で定めるもののほか、次の各号のとおりとする。

一 三次元点群データファイル
二 その他の資料

「UAVを用いた空中写真による三次元点群測量」におけるポイント

 

i-Construction内で使用される「UAVを用いた空中写真による三次元点群測量」は、一見困難に思えます。しかし、内容として具体的に抑える点は簡略化すれば以下の通りとなります。

■要求精度
三次元点群の位置精度はその目的に応じて設定し、それぞれの位置精度に必要な作業を行う。

空中写真測量を用いた出来形管理要領(土木編)の場合、位置精度0.05m以内の三次元点群は出来形管理に、位置精度0.1m以内の三次元点群は起工測量又は岩線計測に、位置精度0.20m以内の三次元点群は部分払い出来高計測にそれぞれ利用。

■標準点
外部標定点 ― 100m以内
内部標定点 ― 200m以内

■ソフトウェア
三次元形状復元ソフトの検定は規定せず(現段階では)、写真の撮り方を規定。

■空中写真の撮り方。
地上画素寸法 ― 0.01m(要求精度0.05m以内の場合)
写真の重複度 ― オーバーラップ90%以上、サイドラップ60%以上

■キャリブレーション
使用するカメラはキャリブレーションが必要だが、セルフキャリブレーションを許容。

「公共測量におけるUAVの使用に関する安全基準(案)」

 

国土地理院では「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」と併せて、「公共測量におけるUAVの使用に関する安全基準(案)」も公表しました。ここでは、ドローン(UAV)を安全に飛行させ、測量を円滑に実施するために、作業機関が遵守すべきルール等を定めています。

また、平成27年12月より施行された改正航空法による無人航空機の飛行ルール、飛行方法を踏まえた内容となっており、ポイントとなる点は、以下のとおりです。

■運航方法、運航条件

〇航空法に基づく国土交通大臣の許可・承認を得る必要のない空域および運航方法
〇作業員の目視下での運航
〇自動運航による運航(離着陸時を除く)
〇運航範囲の直下及び周辺に、不特定の第三者が存在しないこと

改正された航空法を加味したこの内容では、作業が大幅に困難になります。例えば人口集中地区と呼ばれる市街地上空の飛行は、航空法に基づく国土交通省大臣の許可・承認が必要な運行方法となります。

よって、市街地でドローンを用いた測量などは実質的に不可ということになります。しかし、航空局の標準マニュアルに準じた操縦訓練を積み、国土交通省や地方航空局から許可・承認を得ることで、この限定は解除されます。

弊社は国土交通省や大阪航空局から一年の範囲に渡り、全国における飛行許可を得ると共に、接近飛行や目視外飛行の許可・承認を得ています。

また、ドローン測量の分野におけるISO/IEC17025:2005のコンサルティングの他、ドローンパイロットの育成を行い、国土交通大臣や地方航空局長から許可・承認を得ることが可能です。

ドローン測量やドローン関連のことでお悩みなら、弊社にお気軽にお問合せ下さい。